2024.06.14
一石四鳥の成果を生んだLIGHT THE WAYブランディングムービーの制作背景
- LIGHT THE WAYのこと
- 事例紹介
LIGHT THE WAYは、2023年12月にブランディングムービーを公開しました。プロジェクトの発起から2年という長い時間をかけて制作する、自社プロジェクトとしては大きなものでしたが、結果的に想像以上の反響、学び、成長をもたらしてくれました。 代表であり映像ディレクター/アートディレクターの西澤岳彦に、その制作の背景を聞きました。
スキルアップを目的とした実践的なアウトプットの場をつくりだす
昨年末に自社で制作したブランディングムービーを発表されましたね。
西澤:会社の顔となるような良い映像ができたと思っています。
LIGHT THE WAYはアウトプットの表現を作るだけではなく、ストーリー構成やシナリオライティングから考える、デザイン+ブランディングの会社です。ロジカルにメッセージを伝えながらも、エモーショナルな表現で視聴者の心を動かすことを大切にしています。この映像には、その要素を詰め込みました。
例えば、パズルが並べ変わっていくシーンは、様々な選択肢があるなかで「道しるべとして正しい道を切り開く」ことを表現する比喩となっています。メッセージを伝えながら気持ちよく場面の展開がされることで、映像としての面白さも担保されている。クリエイティブディレクションから実制作までを行えるLIGHT THE WAYだからこそできた映像です。
なぜ、自社内でブランディングムービーを作ることになったのでしょうか?
西澤:きっかけは、月に1度行っていた社内勉強会です。技術向上のためにCG制作のチュートリアルを行っていたのですが、表現の手法をいくら覚えたとしても、実務に紐づかないと身につかないし、アウトプットをつくらないと他の人にも見てもらえず、仕事のようなフィードバックを得られないなと感じていたんです。
メッセージやコンセプトから自分たちで企画し、色んな表現を試しながらスキルアップを出来て、なおかつコンペに出すなど色んな人に見てもらうことができる。そんな条件をクリアできる方法はないかと社内で議論していたところ、自社のブランディングムービーを制作するというアイデアが浮かびました。
クライアントの立場を経験してわかった「決められない」苦悩
実際に、どのようにこのプロジェクトを進めていったのでしょう?
西澤:企画が始まったのは2022年の春ですね。ただ、ポツポツとプロジェクトを進めながらも少し時間が空いてしまい、しっかりと実制作がスタートしたのは翌年の4月ごろでした。そこからグラフィック制作をスタートさせ、年内になんとか完成させることが出来ました。当初は「スピーディにアウトプット出来るものを」と考え、30秒程度の短い映像に決めたのですが、実際に作り始めたら想像以上に大変で、結果として2年がかりの大規模なプロジェクトになってしまいました。
西澤さんはどのような立場で関わられたのでしょうか。
西澤:普段の仕事では私がディレクターとして企画プランニングや演出表現を考え、具体的な指示まで行っているのですが、今回は実制作の編集部分はノータッチでした。
弊社の白木がメインディレクターを担当し、他のメンバーと共にどういう映像にするかというコンセプト部分から考えてもらいました。要所要所で会話をしながらヒントを出すことはしましたが、最低限です。メッセージを形にするために、リファレンスを探してもらい、それを元に意見を交換しながら案を作ってもらう形で進めました。
自社プロジェクトでありながら、西澤さん自身はクライアントのような距離感で関わっていたんですね。
西澤:そうですね。社内プロジェクトとはいえ、クライアントワークのような緊張感の中で制作をするからこそ意味があると考えていたので。そうした立場で関わることで、私自身も勉強になった部分は少なくありません。
どういうことでしょう?
西澤:クライアントの立場、つまり発注者として関わったことで、これまで以上にもクライアントの気持ちが想像できるようになりました。
私たちのようなクリエイティブを専門とするパートナーからの「提案」はクライアントの判断を助けるものだと思いますし、そのメッセージをクリエイティブに翻訳するために伴走している。しかし、クライアントの立場(主観的な立場)になった途端、とにかく決められないんです。クライアントは「こういうことを伝えたい」という抽象的なイメージを持ってはいるかもしれませんが、そのためにどんなアウトプットが適切なのかはわからない。
私自身、クライアントに「こういう表現が適している」という提案を行っていますが、それは外部の客観的な視点を持てるからこそ出来ることだなと再認識しました。主観的な目線でクライアントの立場となってどうするべきかと考えていても、「本当にこの表現が自分が一番伝えたいメッセージに最適な表現なのか、自分よがりになっていないか」を疑ってしまい、普段の業務ようにはなかなかスムーズに「核」には辿り着けませんでした。
今回、映像のコンセプトを固めるにあたり、メンバーからの問いかけがあり、それらを取捨選択することで強いメッセージを打ち出すことが出来ました。そうした経験を通じて、LIGHT THE WAYの普段の仕事の進め方が、理にかなっていることが改めて実感できました。
プロジェクトのゴールはどのように設定していたのでしょうか。
西澤:今回、どうしても通常業務の進行案件がある手前、自社プロジェクトの進行の優先順位は下がってしまう傾向にありました。そのためスケジュールは都度仕切り直すのですが、明確な締め切りを設けることがと難しく、クオリティの高いものをつくるというゴールに向けてプロジェクトが進んでいきました。
私が物事の決定に拘りすぎて時間を要すれば、多くのメンバーを巻き込んだプロジェクト全体の制作費はどんどん膨れていってしまう。けれど必ずクオリティは担保して良いものを作りたい。また、このプロジェクトには個々のメンバーが新しいことにチャレンジして自己成長を促したい側面もあるので、必ずしもかけた時間と比例してすぐにクオリティが上がるわけではない。その点は、経営者として非常に毎回の判断が苦しかったです。それらのバランスのなかで毎回試行錯誤しながらベストな選択を繰り返しました。今回の経験を通して、私自身新たな視点を得られたと思っています。
メンバーの個性が発揮できるクリエイティブが会社を成長させる
ブランディングムービーに対する周囲からの反響はいかがでしたか?
西澤:クライアントはもちろんのこと、特に同業種の方々から多くのリアクションを頂きました。Xで映像をシェアした投稿もすごく注目をされていて、2024年4月の時点でインプレッションが11万を超えています。
会社として持っているスキルセットは、過去に手がけたアウトプットの実績でしか判断することができません。今回ブランディングムービーを制作したことで、企画・演出能力のアピールはもちろんのこと、多様なビジュアル表現を作り上げる力を持つメンバーが集まっている会社であるということも、社外に向けて暗に示すことができたのではないかと思っています。
これまでのワークスの中では表現できなかった側面を伝えることが出来たということですね。
西澤:はい、LIGHT THE WAYのメンバーが持つ多様な創造性と、潜在的なポテンシャルを示すことが出来たと思います。今回のブランディングムービーに対して、沢山の良いリアクションをいただけた事実には、心から胸をなでおろしています。
ブランディングムービー制作にあたり、メンバーには積極的に挑戦したい表現を取り入れてもらいました。興味のある分野に主体的にチャレンジすることが、プロジェクトの自分ごと化の意識に強くつながったと思います。結果としてメンバーの「個性」が強く発揮されたアウトプットになりました。
長所をどんどん伸ばした方がアウトプットの質は上がりますが、当然、普段の仕事の中でやりたいことだけに絞って毎回挑戦するなんてことは出来ません。そのため、こういう機会を設けてメンバーの成長を促し、無事に完成公開までこぎつけられた点は、とても達成感がありました。
一石二鳥、いや、それ以上の成果が得られたと。
西澤:会社のメッセージを伝えるブランディングムービーであり、メンバーの実力を示す制作実績になりました。制作にあたったメンバーの成長になりましたし、今後のやりたい仕事にも繋がるようなきっかけになりました。一石四鳥ぐらいの成果はあったかもしれないですね。
日々の業務以外に自社強化の時間に投資できる環境、これは私自身の会社員時代に求めていたことでもあります。そういう環境を経営者としてメンバーに提供できたのは個人的にも嬉しいですし、「会社としての取り組みは、実は評価できるいい会社かもよ?」ということは、ちょっと社内メンバーに対してもアピールしておきたいです(笑)
この映像でLIGHT THE WAYを知ったという方もいるのではないでしょうか。今後の仕事にも繋がっていきそうですね。
西澤:公開後のお仕事の獲得に繋げることまでを意識しながら設計したので、そうなると嬉しいですね。今後海外のコンペにも出展し、多くの人にブランディングムービーを見てもらいたいなと考えています。本気で作りましたし、それだけ高いクオリティにはなったのではないかなと思います。
現時点での満足した気持ちはありつつも、本当の意味でこのブランディングムービーが良い結果を出せるかどうかは、これから次第だと思います。作りっぱなしで終わりではなく、多くの人に観てもらえるような施策を考えながら、効果の検証は続けていきたいと思います。
編集者:高橋直貴
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会社の「顔」でありメンバーの「作品」。自社のブランディングムービーがもたらした機会と成長