新卒・未経験でデザイン業界へ。「壁」を越えるためにやったこと
2022.06.10

新卒・未経験でデザイン業界へ。「壁」を越えるためにやったこと

  • LIGHT THE WAYのこと

こんにちは。最近、すみっコぐらしのアニメを見まして、あまりのカワイイ要素に癒されております。こういうふわふわした可愛いデザインもやってみたいですね。LIGHT THE WAYでディレクター兼モーショングラフィックスデザイナーをしております、白木悠輔と申します。

今回は入社してからの1年間で、特に悩んだこと2つについてお伝えします。
学生時代、私は建築学科におり、意匠というより構造計算の方面を専攻していました。そのため、美術に関する体系的な知識を得る機会がほぼない状態で、デザイン業界に飛び込んでいます。
そんな私が入社して1年。どこでつまづき、どんな対策を講じてきたか、実体験を交えながらお伝えしていきます。この経験を通して気づいたこと、これから何をやっていきたいか、個人的な目標も合わせて書いていきます。これから映像業界に飛び込んでみようと考えている皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。

基礎的なデザイン力がない。そもそも「いいデザイン」の基準って?

1つ目の悩みは、基礎的なデザイン力がないこと。いえ、それ以前に「デザインの良し悪しを推し量る基準が分かっていない」ということでした。入社当時は、自分が作ったものの何が良くないのか、どうすれば合格点に持っていけるのか分からず、ゴールが見えないまま仕事を進めていることが多々ありました。レイアウト、デッサンといった基礎力や、デザインを見るうえで意識すべきポイントを習得しなければ、説得力のある仕事にはならないという壁に当たったわけです。
この「デザインを見る基準が分からない」という課題に対しては、案件を通じて先輩方のフィードバック(以下、FBと記載)を受ける、その問題に対応した書籍などを読むなどで、物事に対する新しい視点を増やすことが、克服のために必要なことだと思います。
ここで、私が実際に携わった案件を元に、新しい視点を獲得した例を挙げていきます。

出典:Fine Today Shiseido Co., Lt | SENKA オールクリアオイル オノマトペ 篇
専科HP

こちらは資生堂専科のオールクリアオイルWEBムービーで、弊社ではオノマトペのタイトルデザインとアニメーションを担当しました。私がオノマトペをグラフィックに起こす段階で、先輩方からいただいたFB内容を踏まえて、最終的にどのようなデザインに落とし込んだのかをご紹介します。

【事例1】 最初に提案した画像①の「ツルスベ」では、可読性という視点でFBを受けました。具体的には「ツ」だけサイズ感が他の文字とズレている、「ツ」の3画目が短い、といった点が挙げられます。

「ツルスベ」の作字・タイポグラフィデザインラフ作成時のメモ

しっかり見えるよう線を太めに調整し、各パーツにある程度の長さを持たせる、というアップデートを加えた最終的なアウトプットが画像②になります。

「ツルスベ」の最終アニメーションアウトプット

あくまでひとつの基準ではありますが、視認性・可読性を意識することで、読みやすく滑らかさも感じるデザインに仕上がったと思います。

【事例2】 次に、画像③の「ビックリ」では、今後のアニメーションとレイアウトを意識する、という視点でFBを受けました。

「ビックリ!」の作字・タイポグラフィデザインラフ作成時のメモ

「ビックリ!、ビックリ!」と、2回連続で言葉に出す楽曲だったので、言葉のイメージも考慮して勢いよく絵変わりする動きにブラッシュアップしていくこととなりました。その動きを担保しつつ、人物に対してどう配置すれば視認性を確保できるか、という点をラフの段階で意識しています。検証の結果、以下の画像が最終的なアウトプットとなりました。

「ビックリ!」の最終アニメーションアウトプット

人物が中心に位置しつつ、ひとつのテキストを大きく見せてから、2つのテキストを左右に出現させています。これによって、分裂するような勢いの良い動きを入れ、さらに画変わりする構成にすることができました。またその他にも、可読性を優先して、「ビックリ!」の「リ」の2画目を折り曲げるデザインに調整しています。

このように、案件を通してFBを受けることで、何を意識してデザインを進めていくべきか、要点を絞って検証する癖がつきました。今もまだまだ勉強中ではありますが、いただいたアドバイスのおかげで少しずつ要領を掴めてきている感覚があります。

その他、先輩方におすすめしてもらった書籍を読む、映像を見ることで、超基本の部分を学ぶように努めています。レイアウトや構図、適切なコンテの描き方、文章を整理する方法など、その場その場で当たった壁に対してアドバイスをいただいています。また、後述の映像勉強会で、どんな視点で映像を見ているか学ぶ機会を設けています。

独学だと恐らく何年もかかってようやく得られる基礎力を、先輩方からご教示いただいたり、会社に入って実際に経験を積むことで要点を絞って効率的に学ぶことができました。

業界知識がない。情報はどう集める?

2つ目の悩みであり、入社してから最大の悩み。それは「映像業界への知識の量が圧倒的に足りない」ということでした。分かりやすい例では、アニメや映画の話題についていけない、などでしょうか。映像が好きと言いながらも、それらをあまり観てこなかったことは、とても後悔しています。
なので、まずはアニメや映画を観る習慣をつけることにしました。ただ、どんなものを観ればいいのか、取っ掛かりがないと観る気も失ってしまうことがあると思います。そこで、動画配信サービスの同時視聴機能を活用して、周囲の友人を巻き込みながら映画などを観ることにしました。
例えば、Amazonプライムビデオのウォッチパーティーのように、オンライン上で解説役の友人を招き、映画を同時視聴すると、最後まで離脱しにくくなります。本当は自分で解釈しながら観るのが良いのですが、そもそも気分がのらない人は、そういう強制的な手段をとってみるのもアリだと思います。そこから面白さを感じ取って、自分から見始めるようになれば大成功です。

一方で、映像業界だけでなく、他業界に対する知識もある程度必要だなと感じています。デザインする上で、対象の周辺の情報を理解しておくことは大前提として必要になるからです。また、映像以外の分野の方と知り合い、いつか一緒に何かしたいといったときに、コミュニケーションが取れないと何もできませんよね。実際に私は、有名な人名や社名、相手が何をしてきた人・会社なのかを知らず、会話についていけないことが多々ありました。基本情報が無く同じ土俵で語り合えないことは、もったいないことをしたなと思います。
よく言われているのですが、「常にアンテナを張る」ことの大切さを身をもって知りました。ニュース記事の見出しをざっと見て、気になったものを空き時間に読む。Twitterのような雑多に情報が流れてくるSNSで、特定の分野に特化して発信しているアカウントや、その情報をよくリツイートするアカウントをフォローする。それだけでも今話題になっているものを把握するには十分です。ポカリスエットや新宿の巨大3Dディスプレイなど、多くの人に知られていて、自分もこんなことやってみたいと思える情報を集める手段にしています。

また、LIGHT THE WAYでは仕事に繋がる映像の知識を増強するため、社内での取り組みとして月イチで映像勉強会を開催しています。こういう映像に興味を持った、こんな映像に憧れたなど、各々が良いと思ったものをプレゼンし合う会なのですが、先輩方がどんな視点で映像を見ているかなど、とても勉強になっています。(社内勉強会についてはまた別途記事を公開する予定なのでご興味があれば覗きに来てください)こういう機会が社内にあるおかげで、どれだけ忙しくても、ちゃんと情報収集はしておこうというモチベーションに繋がっています。
制作のプロセスを知らないと会話できないこともあります。そのため、映像勉強会と並行して3DCG勉強会を行っています。これから会社として今以上に力を入れていくべく、仕事に繋がりそうなCinema4Dについて学ぶ時間を取っています。学生時代にあまり3DCGに触れてこなかったので、半強制的に学ぶ機会があるのはありがたいですね。

以上のような取り組みのおかげで、映像関連の会話に少しずつついていけるようになりました。とはいえ、まだまだ他分野の知識が不足しているので、円滑なコミュニケーションのため、今後も広く情報を集めていきたいです。

物を作るスキル、人を動かすスキル、どちらも身につけたディレクターを目指して

学生時代から、私は「デザインを通して世の中の役に立ちたい」という漠然とした目標があり、そのための手段として映像が最適だと思ってきました。しかし、具体的にどんなプロセスを通れば良いのか分かっていません。ただ最近、スキルとして、人を動かす力も必要だなと明確に思うようになった案件があります。

出典:Citizen Watch Co., Ltd. | Citizen 2022 New Product Announcement 編
特設サイト | YouTube

こちらは、シチズンが2022年に発表する新製品の、コンセプトムービーの監督を担当した案件です。ここでは、これまでで最も規模の大きい撮影現場に行ったり、初めてオンライン編集に立ち会ったりと大変でしたが、一方で大きな経験値になった案件でした。特に、私にとって印象深いのは、クライアントやパートナー企業などの「他者とのやりとり」という点です。
各所へ認識の相違なく指示を出すための文章を考える、撮影現場で全体の雰囲気を和ませて良いものが生まれやすい環境を作るなど、編集ソフト上の作るスキルだけでは成立しない仕事を多く体験しました。このような「作る」から先の「導く」という、ディレクターだからこそできる役割は、これから先、大きなプロジェクトを動かすために身につけていきたいと思っています。
そのためにまずは、コミュニケーションを取る手段を増やしていこうと考えています。一方で制作スキルが大きく不足してくると、実際の制作プロセスを知らないまま指示を出し兼ねないので、ちゃんと制作もできて、指示も出せる人を目指したいですね。

この1年間、右も左も分からない状態で社会人になった私ですが、運よく自分のレベルに合った案件に当たり、成長できていると思います。2年目の目標として、自分のことだけでなく、他人へも目を向けられるよう努力していければと思います。

最後に…かわいい系のアニメやゲームのお仕事に、少しでも携わりたいなと思っております。特にすみっコぐらしとか。それではまた。

編集者:高橋直貴

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Director / Designer

白木悠輔

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